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山に来たら、山の良さがわかります。

山に来たら、山の良さがわかります。

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小さい頃、おじいさんとよく山に出かけていたという瀧口健(たきぐちたけし)さん。原見林業で仕事をするようになって2年目。これからもずっと林業に関わっていきたいと話してくれました。

「とにかく山に来てもらえると、山で働く良さがわかるかと思います。」

瀧口さんが林業を通して、日々感じていることをお聞きしました。

小学生のための林業体験

「ごめん、こっち抑えて」「後ちょっと、頑張って」と声をかけ合いながら、子どもたちが薪を作っています。

瀧口さんの今日の仕事は、林業体験に来ている小学生のサポート。

原見林業では、山の案内と体験プログラムを組み合わせ、毎年10〜11月頃に県内の小学生を受け入れています。去年は、ノコギリを使って間伐や除伐の作業をしました。

「子どもたちは山に入ったら、うわぁ〜って走り回ってますよ。みんなどろんこになりながら楽しそうにやってます。」と瀧口さん。

「山って、外から見るのと中に入って見るのと全然違うんです。山に来たということ、そして林業のさわりというかね、実際に作業をしたという経験が大切だと思っています。」

幼い頃の経験と自然災害が林業の道に

瀧口さんは、岐阜県出身。小学生の頃、夏休みを利用してお父さんの故郷である和歌山県の古座川町によく来ていました。山に連れて行ってもらったり、川で遊んだりしながら、おじいさんから山の話をたくさん聞いていたそうです。

代々、林業を生業としていた瀧口家。瀧口さんの実家、岐阜県の家は、古座川町の山から切り出した木を使って建てられたのだとか。

改めて林業について考え始めたのは、近年、耳にするようになった自然災害のニュースだったと言います。

おじいさんとの思い出、そして、災害に強い山を作りたいという気持ちが結びついて、瀧口さんは林業に従事したいと思うようになりました。

農林大学校で学べる現場で役立つ知識と技術

林業に関わることを決めた瀧口さんは、ゆかりのある和歌山県に移住し、農林大学校に通うことに。

農林大学校では、日本の林業についての幅広い知識と共に、チェーンソーから重機や架線まで、林業に必要な資格をほとんど修得できます。

「次の林業従事者を育てるということで、現場に出られるまでのことを教えてくれます。1年でここまでやってくれるところは、なかなかないと思いますね。」

瀧口さんが目指すのは、混交林

農林大学校を経て、原見林業で実務に励む瀧口さんが目指す「災害に強い山」とは、どのような山なのでしょうか?

「人工林(杉やヒノキを人の手によって植えた山)は手入れしないと、木が育ちません。木と木の間隔を開けるための間伐や、邪魔になる雑木を切る除伐をして、ある程度日が当たるように手入れすることが必要なんです。

地面に日が当たると、人工林の間に自然と紅葉樹が生えます。広葉樹は枯れてもそれが土の養分になりますし、また自然と生えてきます。針葉樹もあり広葉樹もあるという混交林は、それぞれの根っこが絡まり、地面がしっかりします。そういう山が災害に強くなります。

混交林だと見た目も綺麗ですよ。秋に赤く色づく木があるのもいいものです。」

「まずは、とにかく山に来て。」

瀧口さんは、現在、原見林業で主に間伐と除伐の作業を担当しています。

山で仕事をすることの良さをお聞きすると、「日常的に山に入って仕事ができるというのは、とても気持ちがいいですよ。」と返ってきました。

「林業は技術的なことを身につけられるので、自分に自信が持てるようになったというのもこの道に進んで良かったと思うことの1つです。この辺にはコンビニがありませんし、外食できるところも少ないですが、それなりに生活はしていけます。逆に、本当に必要だったのかな?と改めて考えるなど、生活の仕方や自分自身を見直す機会にもなりますね。

うまく言葉にできませんが、実際に山で仕事をすると『あ、こういうことか』ってわかると思います。とにかく山に来てください。」

今日、子どもたちが作った薪は、隣町のピザ屋さんに運ばれるそう。

子どもの頃の経験が林業に結びついた瀧口さんのように、原見林業が続けている体験プログラムが今後の林業への架け橋になりますように。

子どもたちの元気な声が山に響いていました。