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YOUはどうして林業に? 林業従事者のリアルな声、聞いてみました

YOUはどうして林業に? 林業従事者のリアルな声、聞いてみました

実際に山で働いている人はどんなことを考えているのだろう。働いてみての率直な感想や魅力、課題は何なのか。そんな疑問を、民間の林業ベンチャー・株式会社中川に勤める繁野秀樹さんと清水森林組合に勤める長峯雅志さん、和歌山に移り住み林業に従事しているお2人にそのままぶつけてみました。

————どうして林業に就き、また移住先に和歌山を選んだのかを聞かせてください。

(繁野さん)

以前から林業に興味があったんです。興味は持ちながらも異業種の仕事をしていたので、年齢を重ねるにつれこのままでいいんだろうかと思い始めて…、やるなら今しかないなと、林業の就業支援講習の情報を見つけて、まずは1日体験から受講。休みの日に林業の現場を見学させてもらって、その後4日間講習というのに参加して、現場にも行って…とするうちにより実感できるようになって、本格的に転職と移住を考え始めたんです。その中で、龍神村に移住者の住宅があることや和歌山県に農林大学校が開校した情報を知り、和歌山に来ることを決めました。

(長峯さん)

東京で生まれて神奈川で30年以上育ってきたんですが、暮らしの豊かさというのを考えた時に、都会にものがあふれた生活よりも、田舎で毎日おいしいものを食べるような生活が自分の中での理想の豊かな暮らしだと考えていたので、田舎暮らしをずっとしたいと思っていたんです。その手段として最終的に林業を選んだ感じです。職業として「林業に就きたい」よりも移住先として「和歌山に住みたい」が先。最初は別の方法での移住を模索していたのですが、結果的に農林大学校の林業研修部ができるというのを東京の移住相談で聞いたことから、それなら住居や仕事といった生活の基盤をきちんと作れそうだなと思い、林業を選びました。

――――いまの職場をどう選びましたか?

(繁野さん)

林業の就業試験講習に参加していた時に講師として中川さんにお会いしたのを機に、入学前から株式会社中川で林業のアルバイトを始めたんです。中川さんの林業の働き方や環境をよくしたいという強い想いに感銘を受けたというのもあります。学校に通いながらもそのままバイトを続け、結果的に卒業してからもお世話になることにしました。社長の人柄や班の雰囲気も決め手の1つでした。今は非常にいい環境で働けているなと思っています。

(長峯さん)

森林組合を選んだのは農林大学校のインターンシップでお邪魔させてもらったことがきっかけでした。既に40歳近い歳で林業に入っているので、若い時からやっている人と比べて今から一流の職人を目指すには既に年季が違う。自分の特徴を生かしてできることを考えた時、都会で生活していて、山が好きで…といった人のニーズを組み上げた林業が自分にできることなのかなと思ったんです。そういう意味で森林組合は業界全体で活動できるフィールド。補助金を利用したりして、林業の新しい形を模索したいと思って最終的に組合を選びました。

――――林業のモチベーションややりがいはどこに感じますか?

(繁野さん)

いまの会社を選んだ目的が造林。植え込みがメインで、木を切った後に苗を植える仕事なんですが、要するに山を育てる最初の仕事。その仕事に就けるというのが今のやりがいです。1つ1つの作業はきついんですが、休憩の時にふと顔をあげると山の稜線が見えたり、場所によっては海が見えたり…そんなきれいな景色を見るたびホッとしています。またそんな光景を眺めながら食べる弁当は最高においしいです。自然に囲まれて仕事ができることに幸せを感じています。

(長峯さん)

木を切るのは非常に技術の求められる作業。試行錯誤して去年は切れなかった木が今年切れるようになったというように、技術の進歩が手に取るようにわかるのが嬉しくて、主伐に一番やりがいを持っています。また夏は暑くて冬は寒い、そういう当たり前の季節の移り変わりを身をもって感じられて、人間として生きる実感を仕事を通して感じています。年中温度管理のされた都会のオフォスで仕事をするよりもいいなぁと思っています。

――――いまお住まいの地域や和歌山の魅力はなんでしょうか。

(繁野さん)

和歌山の魅力は自然が豊かなところですね。わたしの出身の千葉県八千代市はあまり山のないところなんです。2年前に田辺市龍神村に移住してきたんですが、山村地区に住むのは初めて。最初は住民となかなか関われなかったけれど、お祭りに参加するようになったりいろんな話をしたり少しずつ交流を重ねて、今ではすごくいい環境になりつつあります。龍神は山がメインですが、和歌山は南に行くと白浜をはじめ綺麗な海岸もあるし、山、川、海と自然のバランスがとてもいいと思います。

(長峯さん)

わたしの住む有田川町は都会の感覚からいうと住みにくいのかもしれませんが、県のど真ん中くらいに位置していて、山奥と言っても30分くらいで一番近い町に出られますし、和歌山市にも1時間。アクセスがどこでもよくて住みやすい場所だと思っています。そして何より、和歌山県は基本的に食べ物が美味しいので、食べるのが好きな人で移住したいなって人には非常におすすめです。海のものも山のものもおいしくて、野菜も果物もたくさんある。有田みかんは今まで食べたどのみかんよりもおいしかったし、自分で作った無農薬のトマトにも感動しました。この暮らしをしていなかったらあのトマトの味は一生味わえなかっただろうなと思うと本当によかった。本当に食べるものに関しては感動がたくさんあります。

林業につく前はアウトドアを楽しみながら仕事ができると思っていたんですが、全く別物ですね。趣味でする登山と林業はまったく違います。でも日常がアウトドアのようだし、夜外に出たらすごくきれいな星が日常にある。子どもがいま生後3ヶ月ですが、大きくなったらバーベキューがしたいですね。

――――いまの林業の課題はなんだと思いますか?

(繁野さん)

作業員の年齢ですね。いま38歳なんですが、職場でわたしが一番若いんです。苗を植えた後、50年、60年管理していかないといけないわけなので、そうなると若い世代の方が働いてもらえないと辛い。常に体を張っていて、危険も伴う仕事。そのことを考えた時にも、林業全体でもっと給与面もよくなっていってほしいですね。結局はどこにやりがいを感じるか。わたしのように山村地区の地域の生活に魅力を感じるというのも1つの選択肢。まず一度働いている現場を見るなり体験してもらえると違うと思います。

(長峯さん)

もっと新しい人、有能な人が入ってきやすいよう、林業自体を変えて経営状態をよくしていかないといけない。そのためにももっと林業を知った上で経営をきちんと考えられる人が必要。林業を稼げる林業にする経営感覚や経営能力のある人が求められていると思います。現場で10年20年やっている職人さんたちは一流の技術をもっているので、黙っていてもいい仕事をしてくれます。そういう人をうまく使っていい経営をできるか、それをこれから考えなければならないと思います。

――――これから林業に従事したい人へのメッセージをお願いします。

(繁野さん)

わたしが林業に就く前に不安に思っていた仕事の体力や技術面は、実際に働いてみるとそんなに心配することはありませんでした。学校である程度の知識や技術は身につけられますし、そうじゃなくても働きながら資格を取って技術の向上もできます。そこは心配しなくても大丈夫。山村地域での生活も、ちょっと勇気を出して地域に関わってみたら非常に楽しくて有意義です。まずは自分の住みたいと思う地域に足を運んで雰囲気を感じること、そして少しでも林業の現場に足を運んでもらって時間のある時に見るなり体験して、いいなぁと思ったら進んでいっていい仕事だと思います。不安があったら相談できる場所もあるので、不安ごとを1つずつ解消していければいいと思います。

(長峯さん)

目的をもって自分で何かをしたいと思った時に、その選択肢の1つに林業を思ってもらえたら嬉しいですね。実際わたしも林業がしたくてではなく移住して田舎暮らしをしたくて林業を選んだので、もしそんな風に思う人がいるなら、いろんなやり方がある中で、1つ林業を考えてほしい。ただ、林業は非常に危険な仕事だし、会社でデスクワークをするよりは体力のいる仕事。それを理解した上で、それでも一生懸命調べて林業に来てくれる人がいたら嬉しいですね。また、移住に迷う人には「思い切って来てください」と言いたいですね。都会のストレスで疲れて将来このまま歳とっていくのかなぁなんて思ってる人は、思いきって環境を変えてみることをおすすめします。