1. ホーム
  2. わかやま林業ノート
  3. 林業従事者インタビュー 繁野秀樹さん
林業従事者インタビュー 繁野秀樹さん
繁野秀樹さん

繁野秀樹さん

千葉県から平成30年に田辺市龍神村に移住。和歌山県農林大学校林業研修部を卒業。平成31年に田辺市の株式会社中川に入社。今は、造林・育林の仕事に携わっている。

和歌山の未来の森をつくる仕事に従事

田辺市の造林・育林専門の林業事業体である株式会社中川へ2019年に入社した千葉県出身の繁野さんに仕事の内容ややりがいをお聞きしました。

千葉県から自然豊かな暮らしに憧れて田辺市龍神村へ

生まれは福岡県です。10歳の時、家族で千葉県に移住しました。学校を出てから地元で土木建築系の仕事に就いていました。前から山や川に囲まれた自然の豊かな場所で暮らすのが夢で、いつかはどこかに移住したいと思い、いろいろ情報を集めていました。

移住を決めるのと林業で働こうと思ったのは、ほぼ同時です。和歌山の移住情報を調べていた時に、林業就業支援講習が開かれることを知って、受けてみようと思いました。

林業の盛んな田辺市龍神村にある市の短期滞在施設に入居できることになったので、とにかく山村の生活を知り、林業就業支援講習を受けて「山の仕事」を知ろうと考えました。支援講習は、最初に1日の体験コースを受けて、次に5日コース、さらに20日コースも受講しました。

実際に龍神村で生活を始めると森や川、海が身近にあって風景は美しいし、村の人もとても優しく親切にしてくれたので、すっかり和歌山が好きになってしまいました。私のような移住者も周囲にたくさんいて相談にものってくれるのも、心強く感じました。

苗袋を背負って行う植栽作業。

林業支援講習を通じて林業の面白さに目覚める

支援講習を受けた後は、林業関係のアルバイトを見つけて働いていました。和歌山は急峻な山が多く、山仕事は体力が必要でキツイと感じることもありますが、それ以上に山でなければ味わえない感動も沢山あります。アルバイトを通じてですが、山で働くことが本当に面白いと感じたので、もっと深く林業のことを学ぼうと思い、翌年、和歌山県農林大学校林業研修部に入学しました。

林業研修部では1年間、現場のことから経営面のことまで幅広く学ぶことができ、視野も大きく広がりました。また、様々な資格を取得することもできました。一番良かったと思うのは安全に対する知識が身に付いたことです。卒業後は株式会社中川に就職し、現在もそこに勤めています。また、運よく龍神村にある「緑の雇用担い手住宅」に空きが出たので引っ越しをしました。

未来の森をつくり、守り育てる仕事

私が勤務している株式会社中川は、平成28年に創業し、「木を伐らない」林業をやる会社です。

木を伐った後に苗を植える準備作業の「地拵え」から「植栽」、植栽後の「下草刈り」、「保育間伐」など20年生から30年生までの森林の手入れを専門に行っています。最近は、鹿が植栽した苗木を食べてしまう「食害」が非常に多いので、防護ネット設置の作業もやっています。また、植栽に使うコンテナ苗の生産にも取り組んでいます。スギやヒノキなどの針葉樹がメインですが、今は、和歌山県の県木でもある広葉樹のウバメガシのコンテナ苗の生産にも取り組んでいます。このウバメガシは紀州備長炭の原料になります。

夏場の下草刈りは、木を育てるために欠かせない作業。

また、当社は先進技術の導入にも積極的で、和歌山県と協力して大型ドローンを使ってコンテナ苗を植栽場所へ運搬する実証実験なども行っています。社員は20人ほどで同年代の若い社員が多く、和気あいあいとやっています。「林業」というと木を伐る仕事と思われがちですが、実は木を育て守っていくのも大切な仕事です。未来の人のために、今、自分たちが汗を流して森をつくっている!と思うと大きなやりがいを感じます。

当社では苗づくりにも取組んでいます。
コンテナ苗になって植栽作業が容易になりました。

勤務時間は日の出からお昼まで

当社がユニークなのは、日の出に合わせた勤務時間になっていること。夏場は午前2時に起きて朝食をとり、3時すぎに家を出て4時半には現場に集まります。作業は夜が明ける5時からスタート。皆さんが朝食をとっている8時に私たちは昼食です。そして、9時から再び作業を開始し12時には終業、現場を後にします。身体が慣れるまでは大変でしたが、自然を相手にした林業では涼しいうちに仕事ができるので、理にかなった勤務時間だと思います。

午後の時間はすべて自由になるので、夏はそのまま川や海に泳ぎに行きます。日の出が遅い冬場は7時に作業開始で14時に終業です。

また、休暇ですが、天候に左右される仕事なので雨が降れば休みになり、晴れれば土日でも仕事をします。大体3日か4日仕事をして、1日休むという感じです。どうしても休みたい日があれば、前もって言えば班の中で調整して休むことができます。

私は車の運転が好きなので、休みの日は林道をドライブして、美しい清流とか山並みとかを探し、自分だけの観光スポットを探しています。また、山村生活ならではの、畑や梅畑もやり始めました。

和歌山の森でやりがいを見出そう

林業は自然が相手の仕事なので、なかなか自分の思い通りにいかないことがあります。しかし、それが林業の面白さ、奥深さでもあると思います。型どおりにいかないことを、経験や知恵を使って考えながら乗り越えていくのがやりがいです。

そして、自然の中で働くことは、いい気持ちです。先日の現場は標高が高い場所だったので、現場から青い海が望めました。山仕事をしながら海を見ることができるのも和歌山ならではかもしれません。また、景色のいい場所でお昼のお弁当を食べられるのも山仕事をしている者の特権です。

和歌山県では、今後、皆伐する森が増えていくと思うので、私たちの会社の仕事も増えていくと思います。なので、仲間は一人でも多く欲しいです。和歌山での暮らしや山仕事に興味があったら、まず林業体験会に参加してみてはいかがでしょう。山の仕事を実際に体験して、「ここが楽しいな!」というポイントを少しでも見つけてもらえればと思います。

田辺市 短期滞在施設
http://www.city.tanabe.lg.jp/sanson/tankitaizaishisetsu.html

和歌山県 緑の雇用担い手住宅
https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/010100/reiki/reiki_honbun/k501RG00001536.html