森の仕事とは

森の仕事とは

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和歌山の森の仕事を知ろう

林業は、農業、漁業と同じように自然から富を得る第一次産業のひとつです。森林で樹木を伐採し木材を生産する産業といえます。昔は森で木を伐る人のことを「樵(きこり)」とか「杣(そま)」と呼んでいました。しかし、木を伐ることだけが林業の仕事ではありません。木を伐った跡に苗を植え、育て、豊かな森林を百年先へ届けるのも大切な仕事です。

和歌山は木の国、森の国。

和歌山県の昔の呼び名は、紀伊国(きいのくに)。7世紀頃は木国(きのくに)と呼ばれていたそうです。その由来は、雨が多く木が生い茂っていたから、だとか。和歌山県の森林面積は361,299haで森林率(県の面積にする森林の割合い)は76.5%。県の面積の4分の3が森林というわけです。その森林の95.1%が民有林※1。国有林※2の割合が4.9%と大変少ないのが特徴です。

また、民有林のうち60.7%が人によって植えられた人工林で天然林は37.6%。全国の人工林率が41%※3ですから、和歌山の森は人によってつくられた森が多いといえます。つまり、昔から林業が盛んだったということです。樹種別にみると人工林の54.6%がヒノキ、42.6%がスギです。一方、天然林の93.7%は広葉樹です。和歌山でヒノキやスギを見たら人工林、広葉樹をみたら天然林といってもよさそうです。

※1:民有林とは個人の山主や県や市町村などが持ち主の森林。
※2:国有林とは国が持ち主の森林。
※3:林野庁 都道府県別森林率・人工林率(平成29年3月31日現在)

和歌山の森林で働く人は?

木の国、和歌山で林業を仕事にしている人はどのくらいいるのでしょう。昭和30年には1万4千人が従事していましたが、平成27年にはその10分の1以下の1,145人にまで減ってしまいました※4

豊かな和歌山の森林を守り、育てていくために林業の担い手を増やしていく必要があります。県では初心者から気軽に森の仕事のことを学べる「わかやま林業就業支援講習」など講習会や、「わかやま林業とびいし研修」という休日を活用した林業体験会を開催しています。

また、より深く技術を身に付けたい人のためには、和歌山県農林大学校の林業研修部があります。林業就業相談会も定期的に開催されているので、森で働くことに興味がある、木のことが気になる方はお気軽にご相談ください。

※4:令和元年度 森林・林業及び山村の概況(和歌山県農林水産部森林・林業局)

きのくにフォレスターのお仕事紹介

林業の仕事には、どんなものがあるのでしょう。木を伐るのはいちばん最後の収穫の時です。その前に木を植えて育てる仕事があります。また、それぞれの仕事は大まかに作業する季節が決まっています。

  • 地拵え
    木を伐ったら、次の森をつくっていくために植林をします。木の苗を植えやすいように伐採跡地に散乱している木の枝や幹などを片付け、整地する作業です。植林をする前に行います。
  • 植栽
    地拵えした斜面に1本ずつ苗を植えていきます。スギ、ヒノキの人工林では1haに3,000本の苗を植えるのが一般的です。奈良県の吉野地方のように1haに8,000~12,000本の苗を密植し、年輪幅が細かく均一な材を育成しようとする地域もあります。また、最近はコンテナ苗など植えやすい苗が開発されている他、大型ドローンで苗を運搬するなど、省力化が進められています。植林は主に春に行いますが、秋に植えることもあります。
  • 下草刈り
    伐採跡地である植栽地は、日当たりが良いため雑草が生い茂り、せっかく植えた苗木を覆いつくしてしまいます。そうすると苗木に光が当たらなくなり、光合成が妨げられるので生育が悪くなり枯れてしまうこともあります。そのため夏には刈払い機を使って雑草を刈り取ります。暑い盛りに行う作業なので体力的にきつい作業です。事業体によっては、夜明けすぐの涼しいうちから作業を行い、お昼には作業を終える場合もあります。下草刈りは、苗木が成長して周囲の雑草や灌木よりも背が高くなるまでの植栽後5~7年の間続けます。きつい作業ですが、森を育てるために必要な大切な作業です。
  • 獣害防護柵設置
    近年、増えすぎたシカやイノシシなどが苗や樹皮を食べてしまう被害が全国的に増加しています。これを防ぐために植林したエリアの周囲に防護柵を設置します。
  • 除伐
    植栽後に植えた苗木の生育を妨げるような木や、健全に育ちそうもない苗木、曲がっている木を伐ります。主に秋から冬の間に行います。
  • 枝打ち
    樹木の枝の部分は、製材したときに節となって現れます。この節が生じないように下層の枝をあらかじめ切り落とす作業が枝打ちです。良質な木材を生産するために必要な作業です。また、枝打ちをすることで木の成長速度を抑制したり、林床へ差し込む光の量をコントロールしたりすることもできます。植栽して10年後から30年後まで適度に実施。作業は木が水を吸い上げない冬の間に、ナタやノコギリなどを使って行います。
  • 作業道
    間伐など森林の手入れをするため、高性能林業機械やトラックが通る林業専用の道をつくるのも大切な仕事です。地形や地質を調査して計画を立て、重機を使って道を通します。しっかりした作業道を開設するには、技術と経験が必要です。
  • 間伐
    人工林では木をまっすぐに育てるためにわざと緻密に植えています。しかし、植えた木が育っていくにしたがってお互いの間に枝を伸ばす空間がなくなり、生育が悪くなり細い木になってしまうので、間引くための伐採を行います。これを間伐といいます。植えてから15年後から40年後ぐらいまで段階的に行い、最終的に植えた本数の3分の1程度まで間引いていきます。間伐は良質の木材になる木を育てる目的の他に、林内に太陽光を入れ下層の植物を育て、土砂災害に強い健全な森林にする目的もあります。間伐した木を搬出して活用する利用間伐と、そのまま林内に放置する切り捨て間伐があります。作業は主にチェーンソーを使って冬の間に行うことが多いです。
  • 主伐
    植栽後60年ほど経つと木材として利用できる太さに木々が育ちます。育てた木を収穫して利用するための伐採を主伐といい、作業には高性能林業機械を使うこともあります。安全かつ確実に木を倒すのはフォレスターの腕の見せ所です。伐り倒した木は、枝を払い、3m、4mなどの決められた長さに切り分ける「玉切り」という作業をして丸太の状態にしますが、集材の仕方によっては切り分けずにそのまましておくこともあります。作業は主にチェーンソーや高性能林業機械を使って冬の間に行います。
  • 搬出
    伐った木は林内から出し、フォワーダやトラックに積んで土場に運びます。林内からの搬出にはタワーヤーダという高性能林業機械を使います。また、搬出距離が長い場合などは架線を張って架線集材機で搬出します。土場に集めた丸太は大型トラックで原木市場などに出荷します。
  • 特殊伐採
    民家のそばや神社の境内など、木を倒すスペースがない場所にある高木を倒さずに伐ることを言います。高所作業車やクレーンを使って伐る方法とロープを使って人が木に登って伐る方法があります。

林業は、木を伐採する素材生産だけでなく、木を植えて育てる造林や育林など実に様々な作業があります。山林の所有境界を確定するためにGPS(全地球測位システム)を使って測量をしたり、その森にどれだけの木材資源があるかを知るために樹高や樹径、本数などを調査したり、林業の仕事は広範囲にわたります。林業は奥深いといわれる所以です。

また、林業事業体によって、取り組んでいる作業も異なります。造林・育林が専門の会社があったり、素材生産を中心に事業を行っている会社があったり様々です。森林で働きたいと思ったら、相談会等に参加してどんな仕事をメインにやっているかを知ることも大切です。

和歌山の森林や林業の仕事のことを知って、和歌山の豊かな森林を未来へつなげるために、ぜひ「きのくにフォレスター」を目指してください。

出典:令和元年度 森林・林業及び山村の概況(和歌山県農林水産部森林・林業局)
https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/070600/gaikyou/index_d/fil/gaikyo_r1.pdf